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イタリア料理
もっとも古い地中海文化に根づいた食生活
イタリア料理は、以前はフランス料理の貧しい従兄弟とみなされていましたが、今では世界の美食学における重要なカテゴリになってきました。バターではなくオリーブ油を使い、魚類、新鮮な野菜、果物をたくさん使うのでヘルシーな料理です。素材そのものの自然な色が、見た目にもエキサイティングな料理を引き立てます。地方によっていろいろな特色があり、使用される素材の数も膨大にあるため、バラエティが無限に富んでいます。
作り方が簡単なため、だれでも自信を持って意見を言うことができ、グルメではなくても楽しむことができます。
偉大な文明には偉大な料理がつき物であることは歴史が示しています。特にイタリアにはそれが当てはまります。イタリア料理は、イタリアの最初の居住者であるとされる古代のエトルリアの地中海文化にルーツを発しています。彼らは非常に芸術的な文化と、驚くほど進歩した農業を生み出しました。その後、ローマ人とフェニキア人、そしてサラセン族、フランス、そしてスペインの侵略を受けた結果、さまざまな影響が残りました。
数世紀にわたって、裕福な人たちと貧しい人たちが食べるものには大きな差がありました。現代になるまで、ごくわずかのお金持ちだけが肉を食べることができ、大地との深いつながりのある農民クラスは野菜や果物、そして森、湖、そして海で取れる幸を食べてきました。比較的乏しい資源しかなくても、農民たちは味わい深い豊かな料理の伝統を築いてきたのです。
一方、より高い教育レベルや海外との付き合いのある宮廷や宗教界を通して、新しい食や料理のアイデアが徐々に紹介されてきました。
ですが、ルネッサンスの頃に、どちらも地方の素材に頼るクチーナ・リカ(「裕福な台所」)とクチーナ・ポヴェラ(「貧しい台所」)を組み合わせて一つにしたのは、量よりも質を大切にした中流階級でした。
イタリアの食文化は数世紀にわたってゆっくりと進歩し、今日、クラシックなイタリア料理として知られる、多様な文化と経済的な影響が華麗に織り込まれた料理文化が花開いたのです。
イタリアが国としてまとまったのは1870年なので、今でもそれぞれの地域や都市や村にはユニークさが残され、この多様性が料理にも反映されているのでしょう。地方や都市にはそれぞれ独自のパスタの形や、パンやペーストリー、そしてレシピがあります。
イタリアの文化と料理は、オリーブ油、小麦、ワインの古くからの産地であるトスカナ地方から始まりました。この地方の料理は複雑ではなく、自然で、生の素材をふんだんに使いますが、準備の仕方はごく簡単です。パンとパスタ、野菜と季節の果物、非常に高品質のチーズ、肉、オリーブ油をたっぷり使います。この地方の西の端は海の幸を使った料理が主です。柔らかく、他の牛肉よりもコレステロールが低い、高級なキアーナ牛のリブで作るビステッカ・アッラ・フィオレンティーナは百年以上もポピュラーな料理です。ファジョーリは広く好まれるため、トスカナ地方の人たちは「豆を食べる人たち」というあだ名が付けられています。
ウンブリア地方の料理の伝統は、この地方の景観を占める山と谷に密接につながっています。この地方特産の高級なオリーブ油を使った料理は、飾り気がなく単純で、地方で採れるハーブ、特にマージョラム、フェネル、ローズマリーで味付けされています。
この地方の料理の主な特徴は、家畜と野生の肉を豊富に使うことです。草、野生のタイムやセージで育てられた牛、豚、ヤギ、子牛、子羊、ウサギ、食用おんどり、多くの野生の猟鳥などです。大きなコイやマスなどの川魚もメニューにバラエティを添えます。ウンブリアは最高級のプロシウット(ハム)、乾燥ソーセージと生のソーセージで有名で、全粒小麦粉のカリオール・アラ・テルナーナと手作りのウンブリッチなど、この地方独特のパスタをいくつか生産しており、野生のキノコのほか、リゾットなどの料理に惜しみなく使われる黒いトリュフを含む5種類のトリュフで有名です。
カンパニアの料理は、長く暑い夏の間に火山性の土で生き生きと育つトマトの影響が濃く、水牛の乳から作った絹のようなモツァレラやクリーミーなスカモルツァなどのチーズやマカロニが盛んに食べられます。ナポリからのたくさんの移住者のせいで、この地方の料理は世界的に広まり、特にパスタやピザが有名です。
イタリア人にとって、リグリア料理はもっとも独創的であると考えられています。バラエティにあふれたシーフードが、いくつかの手の凝ったサラダや、ふんだんに使われる野生のポルチニやオヴォリなどのキノコと絶妙のバランスを作ります。リコッタ、カボチャ、魚、甘いパンなど、いろいろな具が入ったラビオリも名物の一つです。リグリアの斜面に生えるハーブがふんだんに使われます。味の濃いバジルソースであるペストは、ジェノヴァの人々が考え出したヌードルとスープで作ったミネストローネと一緒に出されます。
最後に、ベニスとベネトの料理は、豊かで華麗な過去を反映し、東方からやってきたスパイスを使った甘く酸っぱい味の、ちょっとエキゾチックな洗練された料理です。魚料理が好まれますが、肉も負けていません。ですが、ライス、ポレンタ、豆、塩漬けのタラ、バカラが中心です。ニョッキを例外として、パスタはあまり使われません。
各地方はそれぞれの名産がありますが、それらはすべてお互いに影響しあっています。イタリアの食卓や市場の豊かさは有名ですが、地方ごとのバラエティがイタリア料理全体の多様性に貢献しているのは確かです。
最後に、イタリアには国際級の素晴らしく有名なレストランがいくつかありますが、ほとんどの場合、本当においしいイタリア料理はそれが生まれた場所にあることを忘れるべきではないでしょう。
